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zoom RSS ☆「武士の一分」メモ

<<   作成日時 : 2006/12/13 02:30   >>

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製作年度/ 2006年
製作国/ 日本
上映時間/ 121分
監督/ 山田洋次
製作総指揮/ 迫本淳一
原作/ 藤沢周平
脚本/ 山田洋次 、平松恵美子 、山本一郎
音楽/ 冨田勲
出演/ 木村拓哉 、檀れい 、笹野高史 、小林稔侍 、赤塚真人 、大地康雄 、緒形拳 、桃井かおり 、坂東三津五郎
【映画館】
++++++++++
藤沢周平の時代劇を映画化した山田洋次監督の三作目.本作でも庄内藩をモデルにした海坂藩を舞台に下級武士の姿が描かれている.2002年,「たそがれ清兵衛」から始められた取り組みの最後を飾る作品.
原作は,藤沢周平の剣客小説“隠し剣シリーズ「隠し剣秋風抄」”に収録された短編,「盲目剣冴返し」.主演が木村拓哉ということで,話題性は申し分ないものの,ちょっと不安を感じつつ映画館に足を運んだ作品でした.

主人公の三村新之丞は海坂藩の三十石の下級武士.彼の藩での役目はお毒見役.
妻・加世と先代から三村家に使える中間・徳平とともにつつましくも幸せな生活を送っていました.しかし,自分の役目を馬鹿馬鹿しく思う彼は,早めに隠居して子供達に剣を教えることに憧れます.これまでの師匠たちの教え方は画一的.自分は子供の性格や体格等の個性に応じた教え方をしたいと夢が次第に膨らんでいく・・・

ある日,いつもと同じように新之丞は藩主の昼のお膳の毒見をします.
しかし,調理人の不手際により,きちんと毒の取り除かれていない赤つぶ貝を食べて悶絶.一時は何者かによる藩主暗殺かと城内が騒然となります.しかし,原因が判明すると,調理場の責任者である広式番の樋口作之助が切腹して事態を収拾.一方,新之丞は,雨が降りしきる中を荷車に載せられて意識の戻らない状態で帰されてくる.加世と徳平の必死な看病により彼は一命を取り留めました.けれども,貝の神経毒により新之丞は失明し,一生を暗闇の中で過ごすことになるのですが・・・

物語りの設定は悲劇的で非常に暗いものでした.しかし,作品から受けるイメージは素朴な風情の中に,夫婦の絆とタイトルにもある武士の名誉(一分)が力強く描き込まれた作品.
山田洋次監督の思い描く江戸末期は,緩やかな時の流れを感じさせつつも,多くの束縛と責任の所在のあり方に厳しさを併せ持つ静謐で凛然とした世界.
三村新之丞,その妻・加世そして中間・徳平の三人の姿をとおして,そんな世界で生きた下級武士の貧しくも清潔な姿が描かれていました.
彼らの日々の暮らしぶりが丹念に積み重ねられていきます.暖かいご飯とか芋がらの煮物が並ぶ膳,着物に火熨斗をあてる様子,襖の開け閉めや,風呂敷包みの荷物の持ち方などの仕草に対する細やかな描写.それらの描写の中にさりげなく挿入されるユーモアが作品全体から暗い雰囲気を取り除き,心を和ませたり,哀愁を醸し出したりしていました.しかし,一方では冒頭の広式番・樋口作之助が切腹したエピソードに象徴される理不尽とも思われる厳しい封建社会の仕組みにも目が向けられています.

このような山田監督の紡いだ世界の中で,主人公の三村新之丞役を木村拓哉は力強く演じていました.新之丞は人に対する思いやりを示す反面,かなりストイックな面を持つ男.そんな彼が盲目になり,自分の将来に対する絶望感,妻に対する想いで葛藤する様は非常に見応えがありました.新之丞の性格と木村拓哉の地の部分は似ているのかもしれませんね.適役だったと思います.また,木刀を振る姿,殺陣のシーンでの立ち振る舞いも,力強さが感じられなかなか良かったです.

妻・加世を演じたのは,映画出演は本作品がはじめての宝塚出身の檀れい.多少優等生的な印象も残りましたが,清楚で健気な加世を好演していたのではないでしょうか.
中間・徳平を演じたのは笹野高史.ふっと観るものの心を和ませる演技は,木村拓哉と良いバランス感を生み出していました.新之丞の師匠役を演じた緒方拳の古武士の威厳を感じさせる所作,広式番・樋口作之助を演じた小林捻侍の哀愁,そのほか,山田作品の常連の脇役たちの演技が作品をしっかりと支えていました.

「鬼の爪」に見られた美しい自然描写とか俯瞰撮影等を駆使した映像的な面白さ,あるいは奇を衒った演出はありません.しかし,無駄な贅肉をそぎ落とし,かなりの部分を背景に語らせた脚本および演出は,派手さは感じられないものの,完成度の高い落ち着いた作品にしています.また,富田勲の音楽と静寂さの調和も素晴らしいものでした.

「たそがれ清兵衛」は作品としての質は高かったのですが,どうしても岸恵子のナレーションに馴染めませんでした.「隠し剣 鬼の爪」はかなり外国を意識した作品で映像は見事だったのですが,主演の永瀬正敏が脇役の迫力に押され気味な点と殺陣の物足りなさを感じました.
私にとっては,山田洋次監督の時代劇三部作の中で,もっとも気に入った作品です・・・


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コメント(20件)

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ファンの方には怒られそうですが、キムタクがこれほど時代劇に嵌るとは思っていませんでした (^^;;
その後、調べてみたら彼は学生時代に剣道部だったようですよ。
納得です。

個人的に「たそがれ清兵衛」は、岸恵子のナレーションが唯一の欠点だと思っているのですが、しゅーさんはそこがダメだったんですね。
これも納得 (^^)
タラララ
2006/12/13 15:09
こんばんは。またまたお邪魔してしまいました!
>それらの描写の中にさりげなく挿入されるユーモアが作品全体から暗い雰囲気を取り除き,心を和ませたり,哀愁を醸し出したりしていました。
・そうですよね!そこがこの作品の、すばらしいところですね☆目新しさも派手さもないのに、見ごたえたっぷりだと感じました☆
マキサ
2006/12/13 19:37
タラララさん,こんばんは!
そうそう,キムタクが庭先で木刀を振るシーンと道場で緒方拳と手合わせをするシーンは勢いがありましたねっ♪
錦之助に代表される洗練された殺陣とは異なりますが,これは,これで良かったと思います!

>岸恵子のナレーション・・・
私は,ナレーションに多くを語らせる映画も嫌いではないのですが,映像のきりっとした感じと岸恵子の甘ったるい語り口のギャップがダメでした(^^);
しゅー
2006/12/14 00:06
マサキさん,いらっしゃい♪
今回の作品では,わざとらしさを極力排除していたのではないでしょうか(・・?)
なので,感動を期待した方には,ちょっと,物足りなさを感じたかもしれませんねっ!
でも,じっくり観るには良い映画だと思います(^o^)
しゅー
2006/12/14 00:12
しゅーさん┏● 押忍!!
ここでは、めったにコメント参加できないmickです。
私じゃないけど、娘が、見てきました。
キムタクファンじゃない娘でしたが、よかったわ・・・といってました。
帰りにトイレ入って、サイフ盗まれたらしく、しょげてましたが今日、映画館から連絡があり、サイフ見つかったらしい・・・
お金は、残念ながら抜きとられてたそうです。
まぁ、1000円しかなかったと言うてたから、ええんとちゃうか、と慰めました。
映画の、コメントじゃなく失礼。
そうそう、テレビで、ラストサムライとナナみました ・・・・
mick
2006/12/14 11:45
Mickさん,ちはっす!
>キムタクファンじゃない娘でしたが・・・
私もキムタクファンではありませんでしたが,良かったです♪
娘さんには,ちゃんと損失補填したのかな〜(・・?)

>テレビで、ラストサムライとナナみました ・・・・
中島美嘉は好きなのですが,NANAはなんとなく暗そうで,パスしています.面白かったですか(・・?)
しゅー
2006/12/14 12:36
NANAの中島美嘉さん、とてもクールで素敵でしたよ。 全然暗くなんかないです。 なんて人の会話を戴いてしまいました。 ごめんなさい。
この映画、とても話題になっていますね。 笹野高史さんも出演されているのですか。 ちょっと気になっている役者さんなんです。 
みのり
2006/12/15 01:29
みのりさん,こんにちは!
>とてもクールで素敵でしたよ。
彼女がステージで歌う姿から想像すると,見た目はクール,中身は情熱的っといったところでしょうか(・・?)

>笹野高史さん・・・
いい役者さんですよね〜.
キムタクとの間の取り方が非常に良かったですよっ♪

引越しは無事終了しましたか?
しゅー
2006/12/15 12:37
観に行きた〜い!!
今度は冬休みにまた、強攻策にでようかな…。
観に行けたら、ご報告します( ̄▽ ̄)ゞ
miiko-nyan
2006/12/16 14:01
しゅーさん、ご心配くださってありがとうございます。 来年の2月中旬に引っ越そうと思っています。 やっと色々なことが決まって、少し落ち着きましたが、年が明けたら忙しくなりそうです。 楽しんでしようと思っていますが、なかなか捨てられないのには参っています。
みのり
2006/12/16 20:59
miiko-nyanさん,こんばんは!
>今度は冬休みにまた、強攻策にでようかな…。
冬休みはお子さんもいると思うのですが,どんな手段に出るのだろう(・・?)

まあ,それはともかく,今年の冬休み映画は話題作が豊富ですね.
見に行ったときは,感想を聞かせてくださいねっ(^o^)♪
しゅー
2006/12/16 23:38
みのりさん,こんばんは.
>来年の2月中旬に引っ越そうと思っています。
引越し先は,もしかしたら,みのりさんのパートナーの勤務先の北関東方面(・・?)

>年が明けたら忙しくなりそうです。
寒い時期で大変ですね〜!
しゅー
2006/12/16 23:45
北関東ではありません。 パートナーは目黒区駒場の学校勤めなので、どちらかというと今より勤め先には遠くなってしまうのですが、定年後を考えて、本をたくさん収納できるようにと海の近くに引越します。
みのり
2006/12/20 18:24
しゅーさん こんばんは〜
「武士の一分」見ましたよ それも忘年会の合間をぬって日曜の朝!
満員でした〜!
映画館をでてくる時に若い女の子が「評判より良かったねえ〜」と言っていたのが不思議でした(笑)
私はしゅーさんと同じような感想ですね
笹野高史が良いですね〜 万田銀次郎にも良く出て良い味した役者さんです
「男はつらいよ」にもよくでてますね
その「男はつらいよ(寅次郎サラダ記念日)」を少し前に見てて 
秋の小諸の風景で落ち葉がハラハラ落ちるところを見てたもんだから
映画を見てると あっ! ここで落ち葉が落ちるなあ〜って思いましたよ(笑)

さすが山田洋次!と感心したもんです

話変わりますが・・「硫黄島からの手紙」まだ見に行けないのがちょっとストレスですね(笑)
テス(noosaman)
2006/12/20 21:29
みのりさん,こんばんは.
>定年後を考えて、本をたくさん収納できるようにと海の近くに引越します。
なかなか優雅ですねっ!羨ましいな〜♪

定年後どころか,目先のやりくりで精一杯・・・
なにしろ,我が家には“金食い虫”がいるもので・・・とほほっ(^^);
しゅー
2006/12/21 00:25
テスさん,こんばんは.
>笹野高史が良いですね〜 
>「男はつらいよ」にもよくでてますね
この作品でも冴えてましたね〜♪
山田洋次監督が好んで起用するのも納得です!

コソコソ・・・「硫黄島からの手紙」は観ちゃいました♪
非常に良かったですよ〜(^^)v
今週&来週は飲み会等でバタバタしているため,記事のアップはいつになることやら・・・
しゅー
2006/12/21 01:19
たそがれ清兵衛は好き映画でした。
宮沢リエの美しいこと〜
この武士の一分は文鳥が出るので
観ようかと・・・まったく違う視点から
観るかなぁ〜って思う 私です。
野沢菜っ葉。
2006/12/28 21:44
野澤菜っ葉ちゃん,久しぶり♪
>宮沢リエの美しいこと〜
本当に,この映画の彼女は素敵でした(^o^)
しとやかで,きりっとしていて・・・・

>この武士の一分は文鳥が出るので観ようかと・・・
たしかに出てくるのですが・・・菜っ葉ちゃんが期待するほど出てこないような・・・(^^);
しゅー
2006/12/29 08:35
>菜っ葉ちゃんが期待するほど出てこないような・・・(^^);

えっ〜そうなんですか?
HP行って 大分前に PCに文鳥をダウンロードしてきました

今年もあと少しです 色々お世話になりました
来年も宜しくお願いします。
野沢菜っ葉。
2006/12/31 20:40
菜っ葉ちゃん,こんばんは!
>PCに文鳥をダウンロードしてきました
そんなんですよね〜宣伝では番いの文鳥を前面に押し出しているのですが・・・
それはともかく,良い映画ですよ〜

こちらこそ,来年もよろしくお願いします♪
しゅー
2006/12/31 22:14

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