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zoom RSS ☆「アキレスと亀」メモ

<<   作成日時 : 2008/10/18 21:55   >>

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製作年度/ 2008年
製作国/ 日本
上映時間/ 119分
監督/ 北野武
製作総指揮/ −
原作/ −
脚本/ 北野武
音楽/ 梶浦由記
出演/ ビートたけし,樋口可南子,柳憂怜,麻生久美子,大森南朋,中尾彬,伊武雅刀,大杉漣,筒井真理子,吉岡澪皇,円城寺あや,徳永えり
【映画館】
++++++++++
大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」で俳優として映画デビューしてはや25年.その後,俳優に飽き足らず,監督にも挑戦.そして,「その男,凶暴につき」「HANA-BI」「座頭市」などの数々の話題作を生んできたビートたけしこと北野武監督.しかし,最近あまり良い評判を聞かない彼の最新作です.

養蚕業を営み,財力・名声ともに土地の実力者の家庭に生まれ育った真知寿(マチス)は絵を描くのが大好きな少年.父親の力は絶大で,授業中に絵を描いていても先生は彼を叱らない.父親は,美術収集家気取りで,画商の言いなりに絵を買い,売れない画家のパトロンにもなっている.ある日,真知寿は自宅を訪れたその画家に絵を褒められて,赤いベレー帽をもらう.彼はその画家のお世辞を信じ,その日から画家になることを夢見て,暇さえあれば絵を描くようになる.そんな彼の姿に目を細める彼の父親.
それから間もなくして,蚕が全滅して父親の会社が倒産する.家は破産して父親は自殺.そんな状況にあってオロオロするばかりの継母も,自分の兄に真知寿を預けると自殺してしまう.絵しか描けない真知寿に業を煮やし,人生が一変した彼を厳しく叱る継母の兄.それでも彼は絵を描き続ける.

月日が流れ,彼は青年に成長した.自己流で絵を描き続けてきた真知寿だったが,画商のアドバイスで働きながらも美術学校に通い始める.職場の同僚・幸子は,一途に絵を書き続ける真知寿の才能を信じるとともに,彼に好意を抱く.ほどなく真知寿と幸子は結婚し,無条件に彼を支える幸子のもとで,真知寿は仕事もやめ絵を描くことに専念するのですが・・・

一人の平凡な男が生涯をかけて芸術を志し,ちょっと奇妙で,痛ましくて,悲しい人生を,突き放した視点から描いた作品.しかし,真知寿を支える妻を絡めることにより,作品にはユーモラス感が漂っている.

絵画と出会う少年時代,仲間や恋人ができる青年時代,さらに悪戦苦闘の中年時代と,3つの時代を切り取り真知寿の人生が描かれている.
予想がつきそうで意外につかないストーリー展開.ゆったりとしたリズムで進んでいくその展開を追いかけるのが実に楽しい.
真知寿の青年時代,美術学校の学生たちの無茶苦茶なアートぶりを描いたエピソード,中年時代の真知寿と幸子の風呂場での悪戦苦闘ぶり等に見られる追い込まれた人間の悲しさと滑稽さを描いたエピソードもなかなかのもの.

芸術は天性によるところが大きく,なかなか凡人が努力しても周囲が認めるレベルにまで到達しない.そんな中での葛藤は,もがけばもがくほど方向性が見えなくなる.傍から見れば異常であり,滑稽であり,そして哀れさが漂う.多くの芸術家は,そうやって人生をすり減らして一生を閉じるのかもしれない.もっとも,葛藤しながらも,その葛藤する自分に疑問を感じずに生涯を過ごせれば,幸せなのかもしれない.しかし,妻も娘も全部犠牲にしても平気な顔をしている主人公のエゴイズムを監督の北野武は認めていない.

中年になってからの真知寿を演じたのは監督でもあるビートたけし.真知寿の妻は樋口可南子が演じている.二人の息がとてもよくあっていて,内容とは裏腹に映像全体にほのぼの感が漂っていた.彼の不甲斐なさを丸ごと愛し,そして自分も芸術という魔力に染まっていく.樋口可南子演じる幸子が真知寿に協力して絵を創り上げていくときの表情がとても良い.

脇を固める中尾彬,伊武雅刀,大杉漣らの演技もなかなか味がある.そして,真知寿の人生に大きな影響を及ぼす画商役の大森南朋が実に良い.彼の存在がこの映画での大きなポイントになっていた.以前見た映画での彼はぱっとしなかったが,本作での彼を見ると彼の評価が高いのにも頷ける.

「アキレスと亀」というタイトルは古代ギリシャの哲学者ゼノンの有名なパラドックス.
アキレスは足が速いにも関わらず,歩みの鈍い亀にいつまでたっても追いつくことができないというもの.“アキレス”が幸子で“亀”は真知寿なのか.真知寿が芸術を見つめ立ち止まったとき,幸子もやっと真知寿と同じ地点に並ぶことができたのですね.
派手さはないものの,なかなか良くできている良作.芸術についてのビートたけしの考えを垣間見たように思います.凡人が背伸びして芸術家を目指すことの悲劇.芸術家としては報われることのない人生.突き放した内容の作品でしたが,最後は暖かく締めくくっており後味の良い作品だったかなっ・・・

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
実は北野監督作って、まともに見たのは「座頭市」ぐらいしかないのです (+_+)
役者ビートたけしは、何度も見ています。
そのうちに古い作品から見てみようとは思っているんですけど…。
この映画のDVDが出る頃までには、何本か見ておきたいと思います (^^;;
タラララ
2008/10/19 16:21
タラララさん
自分も北野監督作品はあまり見ていません.
この作品は,北野作品だからというより,劇場で予告を見て,面白そうだったので観ることにした作品です.
そして,自分のイメージどおり,個人的にはとても楽しめた作品でした♪
しゅー
2008/10/19 21:48
僕も北野映画は3本しか見たことがありません・・・(大きな声では言えませんが、ウチにはチケットが6枚ありました。4枚は人にあげましたが残りは使わないまま、ということになってしまいそうです)
HOSHIO
2008/10/20 00:30
HOSHIOさん
>僕も北野映画は3本しか見たことがありません・・・
それはちょっと意外でした!!

>残りは使わないまま・・・
時間はいくらでも作れると思うのですが・・・“興味が沸かない”・・・いかん,叱られそう・・・改めて,“興味は湧かない”・・・ということでしょうか・・・(・・?)
なかなか面白い作品でしたよ(^o^)
しゅー
2008/10/20 13:06
ウソを吐くよりも「時間がなくて見てない」方がちょっとマシかな、と。(^^;)

>時間はいくらでも作れると思うのですが・・・

家の近所ではもうやってません。あとは都内渋谷ですが・・・なかなか行きません。(ーー;)
HOSHIO
2008/10/21 01:42
HOSHIOさん
>ウソを吐くよりも「時間がなくて見てない」・・・
そうですね.自分の首を絞めるようなうそをつくと,後で後悔しますからね〜!!

>あとは都内渋谷ですが・・・
銀座で観たのですが,もう終わってしまいましたか.
自分も,渋谷は雰囲気的にも,地理的にもなかなか行くことのない街です・・・新宿までならなんとか行くのですが・・・(^^);
しゅー
2008/10/21 13:05
ちょっとだけ誤解を訂正しますと、渋谷は一応会社への「通り道」です。要するになかなか横浜から出ない、ということで・・・(^^;)
HOSHIO
2008/10/21 16:20
HOSHIOさん
>なかなか横浜から出ない・・・(会社に行かない)
いいな〜いいな〜
今日は家に帰れません・・・現在もお仕事続行中!!
明日は今やっていることと別件で,午前中,川崎に外出・・・明日はちゃんと家に帰りたいなぁ・・・とほほっ・・・(^^);
しゅー
2008/10/21 23:37
しゅーさん 毎度
北野作品は、チラチラとテレビで放映されたのは見たことありますが、バイオレンスですね。
ちょいとマニアックなとこもありますね。
俳優北野武では「戦場のメリー・クリスマス」見ました。
又、テレビのドラマ作品は、よく観てますよ。
最近、アンジェリーナ・ジョリーの「ウオンテッド」観ました。
暴力シーンが多くて、ちょいと抵抗ありましたが、アンジーのタラコくちびるが呼んでましたので・・・・
mick
2008/10/22 09:27
mickさん
>バイオレンスですね。
いいえ,この作品はバイオレンスではありません.人が死ぬシーンはあるものの,コメディ色の強い作品です!

>アンジーのタラコくちびるが呼んでましたので・・・・
mickさんはアンジーに弱いですからね♪
それでは自分も樋口可南子の笑顔に誘われて・・・映画を観たことにしときましょう.
でも,アンジーの唇に比べるとちょっとインパクトが弱いかな〜(^o^)
しゅー
2008/10/23 00:27

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