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zoom RSS ☆「愛を読むひと」メモ

<<   作成日時 : 2009/08/01 15:39   >>

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THE READER
製作年度/ 2008年
製作国/ アメリカ,ドイツ
上映時間/ 124分
監督/ スティーヴン・ダルドリー
製作/ アンソニー・ミンゲラ,シドニー・ポラック
原作/ ベルンハルト・シュリンク
脚本/ デヴィッド・ヘア
音楽/ ニコ・ムーリー
出演/ ケイト・ウィンスレット,レイフ・ファインズ,デヴィッド・クロス,レナ・オリン,アレクサンドラ・マリア・ララ,ブルーノ・ガンツ
【映画館】
++++++++++
「愛を読むひと」という邦題と「The Reader」という原題,そしてポスターの雰囲気に惹かれて観ることにした作品.ところが,ポスターを目にしていながら,この作品で「タイタニック」で一躍有名になったケイト・ウィンスレットがアカデミー賞主演女優賞を手にしたことは気づかずに鑑賞した作品です.

1995年のドイツ.あるアパートの清潔な感じがするキッチンが映し出される.画面の奥のほうから男女の会話が聞こえてきた.男の名はマイケル.職業は弁護士.相手の女性は彼の恋人らしい.二人の関係は上手く行っていないようで,気まずい会話が続いたあと,女性はアパートから出て行った.一人になったマイケルの表情は暗く,大きな悩みを抱えているように見える.彼は窓越しに雨の降る外を眺めた.アパートの前を路面電車が通り過ぎる.その電車の中には若き日の彼の姿が見え,物語は戦争の傷跡が残る1958年のドイツへと飛んだ.

15歳のマイケルは路面電車の中で気分が悪くなった.電車を降りると,降りしきる雨を避けアパートの入り口まで行き,そこでうずくまってしまう.そこに,アパートに住む40歳前ぐらいの女性が通りかかり,彼はその女性に介抱された.彼女の名はハンナ.
病気が回復したマイケルは,お礼のために彼女のアパートを訪れ,その際,彼女に大人の成熟した魅力を感じる.彼は引き寄せられるように翌日もまたアパートを訪ねた.その日は,彼女の指示で石炭運びの手伝いをした.黒く薄汚れたマイケルを見て,彼女は風呂に入るようにすすめる.素っ気ない態度で接するハンナだったが,彼女は彼の恋心を見透かしていた.浴槽を出たマイケルを包み込んだバスタオルの背後には,彼女の一糸まとわぬ姿があった. 
マイケルは,その後,彼女のアパートに足繁く通うようになる.最初のうち二人は,言葉も交わさず求め合った.マイケル15歳,ハンナ36歳の禁断の恋.しばらくしたある日,ハンナは,突然,マイケルに本の朗読をせがみ,彼はハンナの朗読者となった.「ホメロス」にはじまり「オデッセイア」はたまた「チャタレイ夫人の恋人」など,さまざまな本を朗読した.しかし,マイケルの誕生日,ハンナは忽然と彼の前から姿を消した.

それから8年後のマイケル.彼は法科大学の学生になり,実際の裁判を傍聴するという特別ゼミを受講していた.ある日,傍聴した裁判は,ナチスのもとでユダヤ人強制収容所の看守をしていた6人の女性に対するものだった.その一人として被告人席にハンナが座っていた.彼女との思わぬ再会により,マイケルの苦悩が始まるのですが・・・

ベルンハルト・シュリンクのベストセラー「朗読者」を映画化したもの.監督は「リトル・ダンサー」,「めぐりあう時間たち」のスティーヴン・ダルドリー.脚本は「めぐりあう時間たち」でもダルドリーとコンビを組んだデヴィット・ヘア.主人公の弁護士マイケルとかつて収容所の看守をしていたハンナとの生涯にわたる関わりを描いた作品.禁断の愛と朗読との奇妙な組合せ,ハンナが命がけで守ろうとした秘密,ナチスのユダヤ人虐待に協力したドイツ国民に対する審判の在り方などの題材を,アイデア倒れに終わることなく,とても上手く綴られていた.

ポスターから思い描いた映画のイメージは,数十年前に観たラウラ・アントネッリ主演の「青い体験」だった.思春期の少年の甘酸っぱい性への憧れと想いをどこかで期待していた.しかし,マイケルとハンナの禁断の愛の物語は,切ない初恋の想い出にはならず,ずっしりと重い内容の物語へと発展していった.

裁判によってハンナは無期懲役を言い渡される.マイケルが知る“ハンナの秘密”を明かせば,彼女の罪はかなり軽減されたに違いない.しかし,彼はその秘密を明らかにしない.それは,ハンナが頑なに秘密を守ろうとする気持ちを尊重したからだけでなく,戦争犯罪者としての彼女の罪悪感の低さが許せなかったことによる.この二人の意識の違いが,物語の大きなポイントになっていた.さらにハンナを,罪の重さを理解しつつナチスのユダヤ人虐待に協力した彼女以外の被告人たちと対比させ,意識と行為と罪の重さの関係にスポットがあてられていた.

作品から浮かび上がるハンナは,見た目や表面的な言動は大人であるものの,その内面はかなり幼く,ときには15歳のマイケルよりも幼く感じられた.彼女は自分自身を見つめたり,物事の本質を考えることを知らない.それゆえに彼女は世の中の流れに翻弄される.そもそもの原因は“ハンナの秘密”にあった.そんなハンナを演じたのがケイト・ウィンスレット.抑え気味ながらもハンナの気持ちをしっかりと伝える演技は素晴らしく,実力派女優の風格を漂わせていた.アカデミー賞受賞も納得.しかも,中年女性の色気だけでなく,時折見せる少女のような純真な表情も印象的だった.
大人になったマイケル役を演じたのはレイフ・ファインズ,青年時代のマイケル役はデヴィッド・クロス.こちらもなかなか良い演技を見せていた.

一点をじっと凝視する映像が,次に続く物語への興味を上手く掻きたてていました.また,行間を読ませる間合いが絶妙で,とても味わいのある大人向けの作品だったかなっ・・・



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映画レビュー「愛を読むひと」
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2009/08/25 13:09

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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
そっか、スティーヴン・ダルドリー監督なんですね。
この人も寡作ですね〜。
個人的な相性は抜群なので見ておこうかな…と思ったら、行きつけのシネコンは上映が終了してました (+_+)
仕方がないので、いつものようにDVD待ちにします。
ケイト・ウィンスレットが「タイタニック」の頃に比べると、かなりスリムになったように思うのは気のせいでしょうか。
タラララ
2009/08/02 15:28
変換ミスの報告 (^^;;
チャタレイ「夫人」の恋人
ですよ〜。
訂正された後にこのコメントは削除しておいて下さい m(_ _)m
タラララ
2009/08/02 15:28
タラララさん
>この人も寡作ですね〜。
本当に・・・とても名前は知られている監督ですが・・・
劇場作品は「リトルダンサー」と「めぐり合う時間たち」と,それからこの「愛を読むひと」の3作品だけですからねっ.

>ケイト・ウィンスレット・・・かなりスリムになったように・・・
この作品では,そういう印象をまったく持ちませんでした.おそらく,タラララさんもご覧になれば,そういう印象を持たれないと思います・・・(・・?)

>婦人と夫人・・・
確かに変換ミスですね.修正します.ありがとうございました!!
しゅー
2009/08/02 20:27
こんばんは。
初めておじゃまします(^^;

この映画は、雑誌の紹介で読んで
観たいと思った映画でした!
でも・・・すっかり忘れておりました。
DVDレンタルできるのかなぁ。。。

最近は映画館に行くことがめっきりなくなり、
WOWOWかレンタルで観ることがほとんどです。
今日、WOWOWで録画しておいた
「おくりびと」を観ました。

では、またおじゃまさせてくださいませ(^^)
ときドキッ!
2009/08/08 20:19
ときドキッ!さん,ようこそ♪
>この映画は・・・観たいと思った映画でした!
この映画は大人向きの作品だと思います.そして,「タイタニック」でヒロインを演じたケイト・ウィンスレットがいつの間にか大人の女優さんになったことをとても強く感じた作品です.
まだ,DVDは発売されないと思いますが,発売されたときには是非ご覧になってください!!

>今日、WOWOW・・・「おくりびと」を観ました。
もう,TVで「おくりびと」が放映されたのですか(・・?)
自分は,なぜか広末が苦手で,二の足を踏んでいる作品です(^^);

>では、またおじゃまさせてくださいませ(^^)
是非,いらしてください.お待ちしてます・・・(^o^)
しゅー
2009/08/09 12:58
TBありがとうございます。

>ポスターから思い描いた映画のイメージは,数十年前に観たラウラ・アントネッリ主演の「青い体験」だった.

その気持ち、ちょっとわかります(笑)。
僕は予告編を見ていたので、何か不穏な展開になりそうだと予測してましたが。
それでもちょっと意外でした。
きぐるまん
2009/08/24 09:04
きぐるまんさん
ポスターからのイメージとはだいぶ違う作品でしたが,なかなか考えさせられる大人向きの作品で,鑑賞し甲斐のある作品だったと思います.

製作にミンゲラとポラックが関わっていたのには驚きでした!!
しゅー
2009/08/25 02:48
こんにちは(^^)

何カ月か前、やっと見ました。
WOWOWで・・・(^^)

しゅーさんがすすめてくれたように、
とってもいい作品でした!

彼女が最後まで彼の事を「ぼうや」と呼んでいたことに
キュンときましたよ。
彼女なりに二人の関係に距離を置いておこうという決心を感じたり、
せつなかったです。
ときドキッ!
2010/09/19 17:54
ときドキッ! さん
>しゅーさんがすすめてくれたように、とってもいい作品でした!
切ないだけでなく,とても考えさせられる作品でした.
シリアスな作品はかなり辛口なタイプなのですが,この作品は満足できた作品の一つです.秀作と言っても良いのではないでしょうか.

>キュンときましたよ。
あっ,とっても素敵な表現ですね!!
自分はぼうやの立場からキュンときました♪
しゅー
2010/09/20 02:21

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