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zoom RSS ☆「闇の列車,光の旅」メモ

<<   作成日時 : 2010/07/27 09:33   >>

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SIN NOMBRE
製作年度/ 2009年
製作国/ メキシコ,アメリカ
上映時間/ 96分
監督/ ケイリー・ジョージ・フクナガ
製作総指揮/ ヘラルド・バレラ,パブロ・クルス,ディエゴ・ルナ,ガエル・ガルシア・ベルナル
原作/ −
脚本/ ケイリー・ジョージ・フクナガ
音楽/ マルセロ・サルボス
出演/ エドガル・フローレス,パウリナ・ガイタン,クリスティアン・フェレール,テノッチ・ウエルタ・メヒア,ディアナ・ガルシア,ルイス・フェルナンド・ペーニャ,エクトル・ヒメネス,ヘラルド・タラセナ
【映画館】
++++++++++
娯楽大作を何作品か観ると,何となくミニ・シアター系の映画が観たくなります.この作品も,いくつかのミニ・シアター系の作品の中から選択して劇場鑑賞することにした作品でした.

冒頭,一人の青年が映し出され,カメラは彼の体に彫られた刺青をクローズアップする.
青年の名前はカスペル.ストリート・ギャングMS-13のメンバー.最近,彼を兄貴のように慕う少年ベニートを組織に入会させた.ベニートは組織よりスマイリーという名をもらい,カスペルとともに行動するようになる.
カスペルには組織に対して隠し事があった.美しい恋人マルタの存在.これまで組織の仕事をサボり密会を重ねてきた.彼はマルタの前ではウィリーと名乗り,ストリート・ギャングであることを伏せていた.それが彼女の不信感を招く.ある日,マルタは組織の集会に向かう彼を尾行し,それを地区のリーダー,リルマゴに見つかってしまう.掟を破った彼にはマルタに暴行を加えようとするリルマゴをとめられない.彼女は抵抗したはずみで石に頭をぶつけあっけなく死に,カスペルのささやかな生きがいがそこで幕を閉じた.

ホンジュラスで暮らす娘サイラの元に,別居していた父がアメリカから強制送還されて戻ってきた.彼はサイラを連れてもう一度アメリカへ行き,向こうにいる家族と一緒に暮らすことを提案.サイラにとって,それはあまり気乗りしないものだったが,このままホンジュラスにいても明るい未来は期待できない.結局,父と叔父とともに,彼女はメキシコを経由してアメリカのニュージャージーを目指す危険な旅に出た.
メキシコ南部まで辿り着いたサイラたちは,アメリカ行きの貨物列車の屋根に乗り込んだ.そこにはアメリカを目指す移民たちがひしめきあっていた.貨物列車の旅がはじまり,しばらくすると,屋根にリルマゴ,カスペル,そしてスマイリーが上がってきた.彼らは移民たちからなけなしの金品を強奪.さらにリルマゴは,泣き叫ぶサイラに銃をつき付け暴行を加えようとした.それを見たカスぺルは,とっさに手にした鉈をリルマゴに向けて振り下ろす.驚きの表情を浮かべ,列車から転落するリルマゴ.その瞬間から,彼にはこの列車で旅を続ける以外に選択の余地がなくなった.そんな彼に恐る恐る話しかけるサイラ.僅かばかりの言葉を交わしただけだったが,カスペルは残された命で,彼女をアメリカに橋渡ししようと考えるのですが・・・

2009年のサンダンス映画祭で監督賞と撮影監督賞を受賞したロードムービー.
希望を見いだせない中米社会の中で,アメリカに不法入国を企てるホンジュラスの娘とメキシコのストリート・ギャングの青年の邂逅が織りなす物語.ストリート・ギャングたちの刺青と貨物列車の屋根に乗ってアメリカ目指す人々の姿がとても印象に残る.監督はこれが長編デビュー作となる日系三世ケイリー・ジョージ・フクナガ.

映像はドキュメンタリータッチながら,内容はしっかりとしたドラマ仕立てで,物語としての醍醐味が味わえた.暗闇から出現する貨物列車が象徴するように,物語は暗闇からはじまり,決してハッピーエンドではないものの,最後は希望の光が感じられるものだった.

アメリカを目指す中南米の人々が,晴れてアメリカの地を踏む可能性は半分以下だという.不法入国後の生活もまったく保証されていない.本作にも出てくる検問やストリート・ギャングの存在が,成功の可能性を低くしている.また,体力のない者は病気により挫折を余儀なくされる.それでも故国を捨てようとする人々の絶望的な状況がしっかりと描き込まれていた.

登場人物たちがいつ命を落とすかわからない物語.死んでしまえば,その人物についてのドラマはそこで終わる.何事もなかったようにやり過ごし,肉親であっても遺体を放置するのを止むなしとして,別れを告げる.こういった演出が,この映画をリアルにし,観る側をはらはらした気持ちにさせる.主人公のカスペルも例外でなく,たとえサイラにはヒーローでも,名もなき一人の青年に過ぎない.「Sin nombre」“名無し”という原題は,そう言った意味が込められているに違いない.一方,邦題の「闇の列車、光の旅」も,内容を何となくイメージさせるなかなか上手いタイトルだと感じた.

貨物列車の上での青年カスペルの胸中の描き方は素晴らしかった.あまり直接的な描写はせずに,長回しで撮られた彼が遠くを見つめる姿や心象を映し出すような風景で,組織に追われることになった自分,殺された彼女,偶然出くわしたホンジュラスの娘のことなどが,収拾の附かぬままに駆け巡っている様子がとても良く伝わってきた.

ケイリー・ジョージ・フクナガ.今後が楽しみな監督.今年中に,英国のフィルム会社で「ジェーン・エア」を手掛け,その後は大手映画会社2社の作品を手掛けるようですね.まず,しっかりとした脚本が書けることが彼の強み.本作は96分と比較的短めの作品ながら,観終えた後に充実感が感じられる力強い作品だったかなっ・・・

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ご無沙汰してます
私の大好きなガリア・ガルシア・ベルナルではございませんか!!
よくぞ教えくださいました
ノーマークの映画でした。
ぜひとも見たいと思います


突然ですが
諸事情のためブログお引越しです
アドレスは今までのブログの最新コメント欄にはいってますので
よろしくお願いします
タ〜コ
2010/08/17 20:22
タ〜コさん,お久しぶり♪
>私の大好きなガルシア・ベルナル・・・
う〜ん,残念ながらこの作品ではガルシア・ベルナルは製作側のみで,画面には登場しません.とてもよい作品ですが,内容的にかなり重いので,もしベルナル目当てだとすれば,パスしたほうがよいかもしれません(^^);

>諸事情のためブログお引越しです
了解しました!!
しゅー
2010/08/18 12:31

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