気ままに映画メモ

アクセスカウンタ

zoom RSS ★「サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-」メモ

<<   作成日時 : 2011/10/24 23:45   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 4

画像
PREZIT SVUJ ZIVOT (TEORIE A PRAXE)/SURVIVING LIFE (THEORY AND PRACTICE)
製作年度/ 2010年
製作国/ チェコ
上映時間/ 108分
監督/ ヤン・シュヴァンクマイエル
製作総指揮/ −
原作/ −
脚本/ ヤン・シュヴァンクマイエル
音楽/ −
出演/ ヴァーツラフ・ヘルシュス,クラーラ・イソヴァー,ズザナ・クロネロヴァー,エミーリア・ドシェコヴァー,ダニエラ・バケロヴァー
【映画館】
++++++++++
8月末に原宿でイベント「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展〜映画とその周辺〜」が催されたヤン・シュヴァンクマイエルの最新作.聞くところによればイベントは盛況で,多くの女性で賑わっていた模様.自分はこれまで噂には聞くものの彼の作品は未見で,今回,はじめて観ることにした作品です.

ちょっと偏屈で気難しそうな一人の老人が現れた.彼こそが本作の監督ヤン・シュヴァンクマイエル,その人.
この映画は予算の都合上,実写映画が撮れないのでカットアウトアニメという手法を用いた映画であり実験映画ではないこと,そして,精神分析的コメディ映画として作ったもののおそらく笑いはほとんどない映画であることなどを,観客に向けて語った.そして,最後に,アニメは実写に比べ尺が短いために時間稼ぎに登場したが,自分のスピーチではあまり尺が稼げなかったと嘆いてフェード・アウト.

さて本編.
初老の男が道路を歩いている.男の名はエフジェン.うだつの上がらない引退間際のサラリーマン.彼の楽しみといえば寝ることぐらいで,家では口うるさい妻ミラダの愚痴を聞く毎日.  
そんな彼が若くて綺麗な女性に呼び止められた.女性は自分のことをイヴと呼び,なぜかエフジェンのことをミランと呼んだ.
美しい女性との出会いはエフジェンの夢での出来事.けれども,彼は次の夢でもイヴと出会う.そこでの彼女の名前はエリシュカ.彼はエリシュカに誘われるままに彼女の部屋を訪れ,そこで一緒にダンスを踊った.そしてソファで抱き合おうとしたとき彼女の息子ペトルが目の前に.その次の夢ではイヴの名前はエフジェニエだった.ところが,その後,彼は彼女の夢を見られなくなってしまう.夢の彼女に会いたくて仕方がないエフジェン.

ある日,彼は古本屋で夢の操作方法が記述された古本を見つける.自分の意思で夢の中に入るには儀式が必要で,彼はそのための場所として古いスタジオを借りた.それからというもの彼は会社に行く振りをして毎日夢の中に出かけていくのですが・・・

監督のヤン・シュヴァンクマイエルはシュルレアリストとして知られ,一部の人にはかなり有名な存在.彼の代表作の一つ「アリス」は,ティム・バートンの「アリス・イン・ワンダーランド」が上映された際,ネット上でよく比較されていた.

本作は,一部は実写映画になっているものの,多くは写真の切り絵などを用いて作られたカットアウトアニメーション.シュヴァンクマイエルは予算がなかったと述べているが,実のところは撮影に入るときには実写映画を撮れるだけの資金が確保されていたらしい.準備段階でカットアウトアニメの効果を確認しているうちに,どうやらこの手法に嵌ってしまい,一部だけ実写映画としカットアウトアニメを主体とする作品として仕上げたものと想像する.

背景の上で切り抜いた写真を少しずつ動かして,それを1コマ1コマ撮影していくこの手法は,平面的で実写映画のような深みは得られないし,俳優の細やかな演技も楽しむことができない.けれども,適度に写真の動きをぎこちなくすると,とても愛嬌のある動きを作り出すことができる.
男性器が飛び出しているテディ・ベア,ニワトリ頭の男や女,身体がニワトリの男や女,訳もなく登場する蛇,唐突な性的な描写,それらが作り出す雰囲気はとてもグロい.また,不意に画面をリンゴが転がったり,出てきたスイカが割れたりとなんとも奇妙な描写が散在する.おそらく,実写ならばさらにグロく不快な作品に感じられたに違いない.

内容的には,夢のない生活を送っていた初老の男が夢を見ることに夢を見出し,夢とうつつの二重生活をするうちに夢の魅力に嵌っていく姿と,精神分析医が主人公の語る夢を診断し,夢の持つ意味を次から次に解明していく様子を描いている.観念的で理屈っぽく監督が冒頭で言っているようにほとんど笑えない精神分析コメディだった.それどころが,夢を描いているにも関わらず,結局,現実から離れることができない哀れな初老の男を描いた夢のない物語だった.

3Dアニメーションが流行りの現在にあって,カットアウトアニメーションという古臭い手法に拘り,アメリカン・ポップアートのような印象を残す個性的な作品.一度だけ観るぶんには良いとしても,もう一度観るのはちょっと辛いですね.通常の娯楽映画からはかなり逸脱した作品だったかなぁ・・・

画像

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
これ、見たいと思ってたんですけどね。行かなくてよかった??
こういう映画で「外す」と腹立つのでついつい慎重になって結局見逃す、ということが多いような気がします。(単館は遠いし高いし)

ま、当たったときは嬉しいんですが。
HOSHIO
2011/10/25 01:11
HOSHIOさん
>行かなくてよかった??
言わずもがなのことですが,オーソドックスな映画が好きな人には不向きな作品.
自分の場合は,夢のない映画は受け付けないタイプなので,ちょっとダメでした.
で,HOSHIOさんの場合・・・
内容的にはきっとイマイチだと思います.
けれども,技術的な部分と視覚的な部分に面白さを感じられれば,”行った方が良かった”となる可能性もあります.
う〜ん,かなり微妙ですね(・・?)
お薦めはしません・・・
しゅー
2011/10/25 09:27
シュヴァンクマイエルは2本しか見ていませんが、個人的には気になる監督です。
ユーモアとグロさとシュールな感じはジャン・ピエール・ジュネに似ている気もします。
この映画も予告編を見て面白そうだと思っていたのですが…。
まあ、DVDになったら見ています (^^;;
タラララ
2011/10/27 14:21
タラララさん
>ジャン・ピエール・ジュネに似ている気もします。
同じシュールでも・・・自分の中では
ジュネは抽象的,幻想的なイメージで,シュヴァンクマイエルは超現実を描く硬派なイメージです.

この映画を観た後「アリス」をDVD鑑賞しました.
「サヴァイヴィングライフ」同様,監督の偏屈さが漂う作品でしたが,
メルヘンチックな雰囲気を前面に出している分,「アリス」の方が楽しめました.
しゅー
2011/10/28 01:17

コメントする help

ニックネーム
本 文
★「サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-」メモ 気ままに映画メモ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる