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zoom RSS ☆「ブラック・ブレッド」メモ

<<   作成日時 : 2012/08/17 09:44   >>

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画像
PA NEGRE/BLACK BREAD
製作年度/ 2010年
製作国/ スペイン,フランス
上映時間/ 113分
監督/ アウグスティ・ビリャロンガ
製作総指揮/ −
原作/ エミリ・テシドール
脚本/ アウグスティー・ビリャロンガ
音楽/ ホセ・マヌエル・パガン
出演/ フランセスク・コロメール,マリナ・コマス,ノラ・ナバス,ロジェ・カサマジョール,ルイザ・カステル,マルセ・アラネガ,マリナ・ガテル,ライア・マルル,エドゥアルド・フェルナンデス,セルジ・ロペス
【映画館】
++++++++++
4年に1度のオリンピック.普段なら,夜,遅くに帰ってきてまず自分の部屋のパソコンのスイッチを入れるのに,ここのところTVのスイッチを入れてリビングに居続ける日々が続いていました.そんなこともあり,だいぶ遅れてしまった「ブラック・ブレッド」のメモです.

1940年代.舞台はスペイン内戦後のカタルーニャ.
主人公の少年アンドレウは,貧しいながらも理想を失わずに清く生きる父親を誇りにし,そして,将来,医者になることを夢見る11歳の少年.
ある日,彼は森の中で,血まみれになって虫の息の幼馴染クレットとその父親ディオニスの遺体を発見する.クレットが最後に口にしたのは“ピトルリウア”という謎の言葉.それは,子供たちの間で語り継がれている洞穴に潜む翼を持つ怪物の名前だった.

当初は事故と思われたが,警察がディオニスの遺体を調査して殺人事件と断定.ディオニスと左翼運動の仲間だったアンドレウの父ファリオルに容疑がかかる.その直後,ファリオルは姿を隠し,ファリオルの分まで母親が働かねばならなくなったため,アンドレウは祖母の家に預けられることになった.

祖母の家には,アンドレウ同様,祖母が預かっている従姉妹ヌリアがいた.彼女は事故で左手首から先がなかった.酒びたりの教師と関係を持ち,どこか邪悪さと謎めいたところがある少女.そんな彼女から大人の世界を聞かされるアンドレウ.さらに,夫と息子を失い自暴自棄のディオニスの妻からも耳を疑うような話を聞かされた.
半信半疑のアンドレウの身の周りでは彼女たちの話を否定できないような出来事が次々に起き,彼がこれまで信じてきた世界は音を立てて壊れていくのですが・・・

スペインの映画賞であるゴヤ賞で,作品賞ほか9部門で受賞したアウグスティ・ビリャロンガ監督作品.彼の作品を観るのは初めてだが,スペインのデヴィット・リンチと言われ,映像派監督として知られているらしい.

惨劇の発見者となった主人公の少年の視点で物語は進行する.内戦の傷跡が残る時代を舞台に,閉鎖的な村社会の大人たちの身を守るための欺瞞が少年の目を通して描かれている.
かつてのフランス映画やイタリア映画にあるような少年の性への目覚めにも触れているが,それは調味料の一つにすぎず,主軸となっているのは少年の視点で観た偽りが交叉する大人の世界とそれに対する少年の反応だった.

大人をターゲットにした少年が主人公の作品は,往々にしてノスタルジックな色合いが強いが,本作にはノスタルジーの要素がほとんどなかった.その代わり,指先を失った少女と森を彷徨う裸の青年を登場させ,彼らのエピソードが醸し出す幻想的な雰囲気や,少年の視線ゆえの曖昧さを上手く利用して,スペイン内戦後の重い内容に独特な雰囲気を加味していた.一方で,幻想的な雰囲気を醸し出すエピソードはこの物語をとてもわかり辛いものにしていた.
スペイン内戦について高校での授業程度の知識しかない自分の場合,ほとんど説明なく冒頭からスペイン内戦後の様子を描いた本作は,じっくりと雰囲気を堪能するまでには至らなかった.
それでも,少年の目線というフィルターをとおして,スペイン内乱後の様子に幻想的な雰囲気を加えつつかなり深部を抉った監督の手腕は讃えたい.

この作品のラストは実に暗い.評判はとても良いものの,自分は好きになれない「ミスティック・リバー」を髣髴させるものがあった.母親と別れた後に見せる少年の涙は将来への一縷の光を示唆しているようにも見えるが,自分には少年の両親に対する憎しみがとても強く感じられ,医者になるであろう少年の未来に期待感はなかった.

主人公アンドレウを演じたのはフランセスク・クルメという子役.単純に可愛いタイプではなく,ちょっと風変わりな印象が残る少年だった.彼の脇を固めたのは,スペインを舞台としたギレルモ・デルトロ監督作品「バンズ・ラビリンス」(2006)にも出演していたルジェ・カザマジョとセルジ・ロペス.
アンドレウの母親役のノラ・ナバスはとても綺麗な顔立ちをしているものの,生活疲れを感じさせていたのに対して,父親ファリオルを演じたルジェ・カザマジョは妙に格好よく,そのコントラストには違和感を覚えた.

本作はヨーロッパでかなり評判になり,スペイン本国では絶賛されている作品のようですね.けれども日本ではミニ・シアター系での公開.スペイン内戦を歴史上の出来事と認識できても,思い入れがない平たい顔族に受けるとは思えないので,この公開スタイルは妥当なところでしょう.内容が暗く,物語もわかりづらいため,観ている最中はあまり楽しめなかったものの,時間が経つにつれて悪くない作品と感じるようになった作品かなっ・・・

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
これは知らない映画ですが面白そうですね。
“何が何でもハッピーエンド”よりも“救いようがないほど暗いラスト”のほうが好きな自分には合いそうです (^^;;
DVDになったら見てみようと思いますが、「ブラック・ブレッド」ってありふれた邦題だから、それまで覚えていられるか自信がありません (+_+)
タラララ
2012/08/17 11:54
タラララさん
>ブラック・ブレッド」ってありふれた邦題だから・・・
むしろ”黒パン”の方がインパクトがあったかもしれませんね.

何ともわかりにくい作品です.そして暗いです.
我々平たい顔族の多くには受け入れられない作品だと思いました!
DVD鑑賞後のタラララさんの感想はとても興味深いですねっ・・・(^^)
しゅー
2012/08/17 13:03

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