☆「バベル」メモ

BABEL
製作年度/ 2006年
製作国/ アメリカ
上映時間/ 143分
監督/ アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
製作総指揮/ -
原作/ -
脚本/ ギジェルモ・アリアガ
音楽/ グスターボ・サンタオラヤ
出演/ ブラッド・ピット 、ケイト・ブランシェット 、ガエル・ガルシア・ベルナル 、役所広司 、菊地凛子 、二階堂智 、アドリアナ・バラーザ 、エル・ファニング 、ネイサン・ギャンブル 、小木茂光 、マイケル・ペーニャ
ゴールデン・グローブ賞(2006年)/ 作品賞(ドラマ)
カンヌ国際映画祭(2006年)/ カンヌ映画祭 監督賞
アカデミー賞(2007年)/ 作曲賞
【映画館】
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菊池凛子がアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたり,ライトの点滅シーンで気持ち悪くなる観客があちこちの劇場で出たり,何かと話題を振りまいている作品.しかし,ネット上での評判はあまり良くないようですが・・・
モロッコの山間地で山羊を飼育して生活している一家のもとに一人の男がやってきた.
一家の主は,その男から一丁のライフルを購入する.それはジャッカルから山羊を守るためのもの.彼は山羊の世話を任せている二人の幼い息子たちにそれを持たせた.
まだきちんとした分別のつかない子供たちにとって,それは魅力的な遊び道具.
彼等はゲーム気分で銃口を丘の下を通りがかったバスに向けた.そうして放たれた一発の銃弾.その銃声はあたり一帯にこだましたに過ぎないと思われたのですが・・・
モロッコの発砲事件から数日間に起きた3大陸4カ国での出来事を綴った作品.モロッコ,メキシコ,アメリカ,そして日本・・・それらの出来事は大なり小なりモロッコの事件と絡んでくる.いずれも日常の延長線と感じられる出来事だが,いろいろと示唆に富む内容.
「バベル」というタイトルで象徴される言葉の壁と言うよりは,地域格差が色濃く出ているように思われた.国力の違いが人の命の重みにまで強く反映されていた.もっとも,その地域格差を生んだ元凶が言葉の壁ということなのかもしれない.
娯楽性の観点からは,モロッコでの出来事を他の地点と時間軸を遅らせることにより,見応えのあるミステリーに仕上げられた作品.複数の物語を時間軸をずらしながらパズルのように組み立てていく手法はなかなか面白い.4都市での出来事を交互に映し出しているのに,見づらさは感じない.また作り手のメッセージを台詞で語らないことにも好感を持った.
しかし,物語的に日本(東京)が舞台となる必然性が今一つ希薄.イニャリトゥ監督は,この作品で日本を舞台の一つとして取り上げたかったようだが,その理由付けはこじつけのように感じられた.
この作品の中での東京は豊かさを享受する都市の象徴.そこに住む人々は快適な生活を手にしているはずなのに,なぜかその表情は暗い.人と人とのコミュニケーションが上手く機能していないことをちらつかせるような描写.
そんな環境の中,聾唖の女子高生,チエコは孤独感に苛まれる人々を象徴するような存在.
クラブに渦巻く熱狂の中にあっても,音を感じられないがゆえに場の雰囲気に溶け込めないチエコの姿に,孤独感,疎外感を強く感じた.音のない世界は暗闇に等しい.音があって世界ははじめて色づくのだと再認識した.
しかし,その孤独感から脱出するためにチエコがとった行動はあまりにも極端で,我々,日本人にはすんなり受け入れらない.もう少し,日本についての理解を深め,その上で物語が構築されていれば,もっと味わい深い作品になったことでしょう.
モロッコの旅に出かけ,悲劇の見舞われるアメリカ人夫婦を演じたブラッド・ピッドとケイト・ブランシェットの演技は見応えがあった.特に夫役を演じたブラピの存在は,この作品を骨格のしっかりした作品にしているように思えた.
ガエル・ガルシア・ベルナルはメキシコ人の米国に対するやるせない気持ちを爆発させ,二階堂智はチエコと知り合ったゆえのやるせないさを飲み込んだ.この対照的な二人も,出番こそ多くないがとても印象に残った.
菊池凛子は聾唖の女子高生役で体当たりの演技をしていた.イニャリトゥ監督がこの作品を日本人を起用して撮影すると知ったとき,出演することを強く熱望したらしい.それは彼女の演技に気迫として表れ,他の著名な主演俳優に引けをとらない存在感となった.この作品によって一躍脚光を浴びることになった彼女だが,今後,どのような女優人生を歩むのかは非常に興味深い.
この作品の音楽を担当したのはグスターボ・サンタオラヤ.「ブロークバック・マウンテン」に続き,この作品で2年連続のアカデミー賞を受賞.映画を見終わった後までも余韻として残る音楽.この作品に感じる孤独と空虚さは,ドキュメンタリータッチの映像以上にこの音楽によるところが大きい.
映画を見ていろいろと想像をめぐらすのが好きな人,誰かと内容の解釈を語り合いたい人にはお奨めの作品.おそらく,チエコが若い刑事に渡したメモの内容も話題の一つになるのでしょうね.少なくとも私は非常に気になりました・・・
・バベル@映画生活
この記事へのコメント
自分は今年になってから劇場で見たのは、まだ「どろろ」(しかもハズレ)だけです (+_+)
この映画、何かと話題になっていますね。
ブラピ主演ということもあり、娯楽映画と勘違いされているような…。
先日も知り合いの女性がこの映画をデートで見たいと言っていたので、『別の映画の方が良いのでは』とアドバイスしてしまいました (^^;;
少なくともイニャリトゥ監督の映画が“デート向き”とは思えませんので。
ネット上で評価が低いのも、そういうところに原因があるのでは (・_・?)
私もメモの内容はすっごく気になりました(>_<)!!
それにしても、日本の女子高生の描き方はちょっと極端すぎて、見ていて引いてしまいました(^^;)菊池凛子さんの体当たり演技には、圧倒されてましたが!
>自分は今年になってから劇場で見たのは、まだ「どろろ」だけ・・・
“ようつべ”巡りもそんなにしていませんし,海外ドラマも見ていないので,せめて劇場鑑賞ぐらいの楽しみ(時間的にははるかに短い)があってもよいかな~といったところでしょうか♪
>少なくともイニャリトゥ監督の映画が“デート向き”とは思えません・・・
娯楽性はそれなりにあると思いますが,確かにデート向きではないですねっ!
>私もメモの内容はすっごく気になりました(>_<)!!
ストーリーの展開も面白かったですし,こういうさりげない演出のセンスもなかなか良い監督だと思いました♪本当に,何が書いてあったのでしょう.
>菊池凛子さんの体当たり演技・・・
この作品での彼女の存在感は,やはり気迫ですよね~.普通の役を演じてどこまで存在感を示せるかが興味あるところです!
この監督(とカメラマン)、ほんとに何カット撮ってるんでしょうね。気が遠くなりそうです。ヘリなんかもけっこう別アングルから撮ってたし。編集マンのウデも相当必要だと思います。でもメキシコ辺りだと全部自分でやっちゃう人もいるんでしょうか。北野さんなんかは編集やらせてくれないんだったら監督もやらない、なんて言ってますけど。イニャちゃんは、まさに「異能の人」だと思います。
>編集マンのウデも相当必要だと思います。
なるほど!
確かに,脚本家や監督が良くても,こういう構成の作品は編集がダメだと,ボロボロになりそうですね.
>北野さんなんかは編集やらせてくれないんだったら監督もやらない・・・
へぇ~,そうなんですか!
イニャちゃんも「異能の人」かもしれませんが,北野さんのほうがもっと異能なのではっ(・・?)
これはDVDになったら、しっかりと見なくては。
さらに「ホリデイ」が“お奨めしない映画リスト”に入っているのも見つけちゃいました (^^;;
>「パフューム ~ある人殺しの物語~」が“お気に入り映画リスト”の10位にランクイン
4/20ごろより,パフュームはベスト10入りしています.
朱で目立つようにしていたのですが・・・
>さらに「ホリデイ」が“お奨めしない映画リスト”
あれっ,本当だ!間違いです.55位にも書き込んであります.
お奨めしないほうは・・・ホリディではなくて・・・蟲師・・・
コピペしたあと修正せずに載せちゃったようです・・・えへへっ(^^);
速やかに修正しま~す!
ご無沙汰しています(^_^;
この映画はじっくりと観ないとだめですね~!!
DVDだと、子供達がチョロチョロとして
落ち着いて観れないんです(T∇T)
気になっていた映画だったので、観たいな~!!
ブラピも出てるし(^m^)ゞ
( ̄-  ̄ ) ンーこの、映画は正直
良くわかんなかった・・・・・
パフューム ~ある人殺しの物語 これ、
見てみようと、思ってます!!
蟲師も、ホリディも気楽に見れて
面白かったです。。。
きっと、私は単純明快な感じで
気楽なのが、好きなんですね。。。
>ブラピも出てるし(^m^)ゞ
この映画のブラピは,いつものブラピとはちょっと違ったイメージを模索していたようですよ!
いつもながらのカッコいいブラピなら,8月公開の「オーシャンズ13」が良さそうですね♪
>この映画は正直,良くわかんなかった・・・・・
あははっ,ちょっと娯楽映画とは違いますからね.お気に召しませんでしたかっ.
それに,あまり日本を好意的に描いていないのも,hiroponnさんには引っかかったのではないでしょうか(・・?)
あの時系列をずらした,そしてパズルの組み合わせたような構成は,かなり面白かったのですが・・・♪
>蟲師も、ホリディも気楽に見れて
ホリデイは,働く女性の応援歌にもなっていて,hiroponnさんも何らかの形で元気がでたのではないでしょうか♪なかなか楽しい映画でした!