☆「イングロリアス・バスターズ」メモ

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INGLOURIOUS BASTERDS
製作年度/ 2009年
製作国/ アメリカ
上映時間/ 152分
監督/ クエンティン・タランティーノ
製作総指揮/ エリカ・スタインバーグ,ロイド・フィリップス,ボブ・ワインスタイン,ハーヴェイ・ワインスタイン
原作/ -
脚本/ クエンティン・タランティーノ
音楽/ -
出演/ ブラッド・ピット,クリストフ・ヴァルツ,ダイアン・クルーガー,メラニー・ロラン,イーライ・ロス,マイク・マイヤーズ,シルヴェスター・グロート,ダニエル・ブリュール,ロッド・テイラー,ミヒャエル・ファスベンダー,ティル・シュヴァイガー
【映画館】
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今年,最後にアップするのはクエンティン・タランティーノ監督の最新作「イングロリアス・バスターズ」.実際に鑑賞したのはだいぶ前なのですが,ついつい先延ばしして,アップが今日になってしまいました.

1941年,ドイツ占領下のフランスの田舎町.
はためく洗濯物の合間から一本道をナチス親衛隊のジープが迫ってくるのを見て,草原に家をかまえる酪農家の主人はからだを強張らせた.部下を引き連れてやってきたのはハンス・ランダ大佐.物腰も口調もとても柔らかな軍人.彼は農夫に相談があると切り出した.席につき農夫と向かい合うと穏やかな口調で話し始めたが,彼の質問は執拗で,農夫の緊張が増していく.農夫は耐え切れなくなり,ユダヤ人一家を床下に匿っていることを白状する.ランダ大佐は,数え切れぬほどユダヤ人を死に追いやり,“ユダヤ・ハンター”と異名をとる人物だった.大佐の部下たちが床に向かって一斉射撃を開始.ユダヤ人一家は全員射殺されたと思われたが,娘のひとりショシャナは奇跡的に銃弾を受けずに済み,森に向かって逃走した.

ショシャナの一家のように,多くのユダヤ人がナチスに虐殺されたが,そのナチスでさえ恐怖に震えあがるユダヤ人極秘部隊が連合軍に存在した.アルト中尉率いる極秘部隊“イングロリアス・バスターズ(不名誉な野郎ども)”.連合軍が本格的に進攻する前にドイツ軍の混乱を目的としてフランスに送り込まれた狂気の集団.

それから数年後.若き映画館主ミミューはドイツ軍の兵士フレデリックに言い寄られ困惑する.フレデリックはドイツ軍屈指の英雄で,その武勇が本人主演で映画化されたばかり.宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッペルスへの彼の進言により,彼女の劇場にヒトラーをはじめとするナチスの高官を招き,彼が主演するナチスのプロパガンダ映画をプレミア上映することになる.その事実を掴んだイギリス軍は,ナチスの高官たち諸共映画館を爆破する計画を立て,“イングロリアス・バスターズ”も計画に参加することに.ドイツ側ではランダ大佐がナチスの高官たちを警護することになった.映画館主のミミューも自らの手でナチスごと映画館を燃やしてしまおうと画策しはじめ,物語は三つ巴の様相と呈するのですが・・・

クエンティン・タランティーノがブラッド・ピットとタッグを組み,ドイツ占領下のフランスを舞台にして,ナチスに対する連合軍のとある作戦を描いた映画.ナチスを題材にした映画ではあるものの,冒頭のシーンからセルジオ・レオーネの映画を連想させ,雰囲気はマカロニ・ウェスタン.劇中映画を除けば最前線の戦闘シーンなどまったく出てこない代物で,そのかわりタランティーノの映画に対する拘りととうんちくが散りばめられている.最近の戦争映画にありがちな戦争の是非などを問うことはなく,彼の趣向と拘りを楽しむ作品に仕上がっている.

わくわく,ちょっとはらはら,ときどき噴き出してしまう,なかなかの傑作.ちょうどペーパーブックスを読み進めるがごとく,次の展開はどうなるのか,いつの間にか物語を追いかけてしまう.話の流れの中で,ポイントとなるシークエンスの盛り上げ方が実に上手い.映像につける音楽のタイミングとチョイスもグット.内容的には結構ハチャメチャで,かなりお茶目でグロい.しかし,登場人物どおしの駆け引きの面白さは抜群.例によって1つのシークエンスの中で長い会話のやり取りは,いかにもタランティーノらしい.特に,冒頭のナチスのランダ大佐とフランス人農夫のやり取りと,ランダ大佐と映画館主ミミューとのやり取り,そして,地下にある酒場で出会った面々のやり取りは絶品.

“イングロリアス・バスターズ”は,とても凶暴なグループだと恐れられているが,その実体はかなりおバカな面々であるというギャップも,この作品を面白くしている.普通に考えればアルト中尉はかなり残酷な人物なのだが,アルト中尉を演じたブラット・ピットの肩の力を抜いた,間抜けな感じを前面に出した演技で残虐性が徹底的に薄められている.この作品は,そんなブラット・ピットが主役としてクレジットされているものの,ランダ大佐を演じたクリストフ・ヴァルツが真の主役.作品が見応えのあるものになったのも彼の功績.物腰も口調も柔らかいものの,執念深く相手を徐々に追い込んでいくねちっこさには脱帽.映画の登場人物ながら羽交い絞めにしたくなる衝動に駆られるほど.もっとも,それは自分だけが感じたことではなく,カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞したように,誰もが認めるところでしょうね.

タランティーノのセンスが遺憾なく発揮されていました.ちょっとグロくても大丈夫なら,そして映画を観てわくわくしたいなら,とてもお薦めの作品.ただし,見世物としての映画に徹しているせいか,二回は観たいと思わないし,名作とはほど遠い作品だったかなっ・・・

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